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「君たちはどう生きるか」意味不明なのにゴールデングローブを受賞した理由は?

宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」が、2024年第81回ゴールデングローブ・アニメーション映画賞を受賞しました。

これは日本映画にとって快挙です。
しかし、日本では「意味不明」「気持ちが悪い」など難解でメッセージが伝わりにくい作品と感じた人も少なくありません。

この記事では日本とアメリカのこの作品に対する評価の違いや受賞の審査における評価をまとめています。

「君たちはどう生きるか」をザックリ解説

映画「君たちはどう生きるか」はほとんど宣伝をしなかったため、全然知らなかったという方も多いです。

まず最初にこの映画のザックリ解説を載せますので、既にご存じの方はこの章は読み飛ばしてくださいね。

ザックリ解説
宮崎駿監督が、1937年に出版された吉野源三郎の同名小説を原作に、太平洋戦争末期の少年の成長を描いたアニメーション映画。
戦争の時代背景を背景に、生きることの意味や大切さを問う作品。
ザックリあらすじ
太平洋戦争末期、母を亡くし疎開先で生きる少年コペル。
ある日、謎のアオサギに導かれ大叔父が建てたという洋館に出会う。
洋館には少年を導いてくれる不思議な人物たちがいた。彼らと出会い、コペルは生きることの意味や大切さを学んでいく。

主なスタッフ・キャストと日本での興行成績

原作:吉野源三郎
制作:スタジオジブリ
監督:宮崎駿
脚本:宮崎駿
作画監督:本田雄
音楽:久石譲
主な声優:・菅田将暉・柴崎コウ・木村拓哉・あいみょん
日本での公開日:2023年7月14日
日本での興行収入:86億円超(2023年12月末)
動員数:581万人超(2023年12月末)

「君たちはどう生きるか」米国での興行成績

この作品の英語タイトルは「THE BOY AND THE HERON」
Heronは”サギ(鷺)”だそうです。

声は、ロバード・パティントン、フローレンス・ピュー、クリスチャン・べールなどハリウッドスターが担当しました。

アメリカでの興行成績

公開日:2023年12月8日
興行収入:37億円超(2023年12月末)
上映映画館数:2305館

アメリカで公開後1週間で全米週末興行集ランキング1位を獲得。
大ヒットです。

日本人とアメリカ人の評価の違い

日本ではこの作品は難解と思った人が多いです。
その一方、アメリカでは共感され非常に高く評価されています。
ゴールデングローブ賞を受賞しましたが、批評家など映画関係者だけでなく一般の人々からも高い評価を得ています。

日本での評価

抜粋ですがいくつか一般の方の感想を紹介します。(映画.comより)

・これまでの宮崎ワールドの集大成、ということであろうか。
だが、しかし…。(中略)「千と千尋の神隠し」+「ハウルの動く城」+「もののけ姫」をぐっちょん、ぐっちょんにして割ってみたら、こうなったのかなぁ。

・めーー!ちゃよかった!
ジブリ作品って私どちらかというと嫌いなんだけど、今作は振り切れていてよかった!
和製不思議の国のアリス!(後略)

・今まで、ジブリの作品は、ほとんど好きだったのですが、今回は、ガッカリしました。
映画にまとめるために、(原作を)端折ってしまって、分かりにくいのかとも思いました。

「君たちはどう生きるか」日本とアメリカの評価が異なるポイント

日本人とアメリカ人を比べると、アメリカでのほうが評価が高いのですがその理由として、以下のようなものが挙げられます。

【宮崎駿監督への信頼感】
日本人は、宮崎駿監督の作品を長年愛してきたため、その作品に信頼感を持っている人が多いでしょう。
ですがそれが却って期待を高め、イメージ通りでない作品の評価が下がることはありえます。
アメリカでもジブリ作品はファンが多いですが、日本に比べればまだ作品に親しんでいない人も多く評価に先入観がなく新鮮に受け取られた可能性があります。

【映像や音楽への評価】
日本人は、スタジオジブリの映像や音楽に慣れ親しんでいるため、その素晴らしさは周知されています。
アメリカでもスタジオジブリの映像や音楽は有名ですが、他国で生まれた感性は新鮮で、その素晴らしさをより強く感じさせた可能性があります。

アメリカ人がこの映画を理解しやすかった理由

アメリカ人がこの作品を難解だと感じなかった理由として、以下のようなものがあげられます。

【普遍的なテーマ】
この映画は、戦争や生きる意味など、普遍的なテーマを扱っています。
日本独自のテーマではないので、アメリカの人々からも共感を得やすかったと言えるでしょう。

【美しい映像と音楽】
この映画は、スタジオジブリの技術と情熱が結集された美しい映像と音楽で表現されています。
この映像と音楽は、観る人の心に訴えかけ共感を呼びやすかったと言えるでしょう。

【宮崎駿監督自身への評価】
宮崎駿監督は、これまでにも「となりのトトロ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」など、数々の名作を生み出してきた世界的に有名なアニメーション監督です。
宮崎駿監督を知っているアメリカ人にとっては、この映画も宮崎監督の才能が光る作品と捉えられたといえるでしょう。

ゴールデングローブ賞の審査における評価


ゴールデングローブ賞の審査は、映画関係者によって行われます。
審査員の中には宮崎駿監督のファン、日本のアニメファンでこれらに精通した人も含まれていたでしょう。
その人達の高評価を得たとしたらかなり有利だったはずです。
また、審査員は映画の芸術性や社会性なども評価対象としており、この映画の普遍的なテーマや宮崎駿監督の才能が高い評価の理由だったかもしれませn。

ゴールデングローブ賞の受賞で勢いがついたこの作品、アカデミー賞も受賞となるのか楽しみです!