｢花に嵐｣で岩切一空のイメージが秋元康と重なる？小池ありさ&りりかも秀逸！

インディーズ映画『花に嵐』は、岩切一空監督が2015年に制作した作品です。

ドキュメンタリータッチで次々とシーンが展開し、その脚本が凄いと思いました。

驚いたことに監督、編集、撮影、なんと主演まで同一人物、つまり岩切監督が一人でこなしています。

作品で心に残ったことはいくつもあるのですが、この記事では、岩切監督の印象が秋元康さんとダブったことや、出演した小池ありささんとりりかさんについて、感想と作品情報をまとめます。

あらすじ　大学の映画サークルに入った新入生の”僕”が、映像日記を撮り始める。行く先々で僕の前に必ず現れる女の子に未完に終わった映画の続きを撮ってほしいと頼まれる。カメラを回し続けこの体験を撮る”僕”は、次第にまだ存在しないフィクションの一部になっていく。

岩切一空監督と秋元康がダブったイメージになる理由

⇓左が岩切監督。ぴあフィルムフェスティバルの授賞式でのショット

【PFFアワード作品情報】
最終審査員の野田洋次郎さんも絶賛！昨年、PFFアワード2016で準グランプリを受賞した、岩切一空監督の『花に嵐』@the__blooming が7/29(土)より、K’s cinemaにて劇場公開決定です。#ぴあフィルムフェスティバル pic.twitter.com/mE4X3u1xmU

— ぴあフィルムフェスティバル(PFF) / since 1977 (@pff_award) June 1, 2017

私は岩切監督が主演までしていることに驚きました。

自分の世界を監督として作り上げるだけでなく、主演までしてるところが完璧に自分の世界を創ることを目指している感があり、強い意志としぶとささえも感じます。

この映画はドキュメンタリータッチで、演技力がないとリアリティがたちまちなくなります。

岩切監督にとって、他人を演出するより自分でやる方が楽だったという可能性もありますが、いずれにせよ、演技も最後まで違和感なく自然でした。

この後、そんな岩切監督を見ていて感じた岩切監督のイメージについて私見をまとめます。

岩切監督のイメージは、秋元康さんと重なりました。

ネガティブだと捉えられかねない表現もしますが、決して誹謗中傷ではありません。

才能と自信を遠慮なく押し出してくるイメージ

発想から主演まで全て監督の思いを徹底的に実現させていて、岩切監督の思いの強さと自信を感じました。

しかも、作品の中で主人公は、男子大学が思い描きそうな欲望を次々と実現していき、ちょっと憎たらしいところがあります。

そして、その軽い憎たらしさと岩切監督のルックス（ぽっちゃり、黒縁眼鏡、豊富な黒髪)や、きっと自信家なんだろうなぁと思わせるところが、私には秋元康さんを彷彿させるのです。

岩切監督はインタビューで｢金曜ロードショーで上映されるような作品を作りたい｣と話しています。この監督としての夢に上昇志向を感じるところも共通します。

環境（早大）のパワーを享受している

この映画で見るキャンパスの活気に満ちた様子は早稲田大学そのものです。
(私は早稲田卒業ではないけれど、早稲田の学生には良くも悪くもパワーがあると感じています。）

新入生をサークルにスカウトする先輩たちが騒がしいキャンパスを歩けば、ありとあらゆるサークルの先輩たちがここぞとばかりにパフォーマンスしたり勧誘してくる。

大学生になった喜びに加え、早稲田の学生になれた喜びや期待感のワクワク、とまどいなど、様々な気持ちが感じられます。

映画サークルも学生ながら、ちゃんと映画を撮っている。

現実に岩切監督は映画を撮り始めた最初からこの状況に身を置いているわけで、美大ではない一般大学でありながら先輩から継承する技術や機材、人材豊富な歴史のある稲門シナリオ研究会のメリットを享受していますね。

作品の中でも、新歓コンパ(今もこの言い方？)やハーレムのように部屋狭しと女子大生達がくつろぐシーンなどは、「”早稲田の人がつくってる映画”だから」と撮影に集まった他大学の女子が高い割合で混ざっているはずだ！と思ってしまいます。

こんなことも、早稲田大学のメリットを享受していると言えるでしょう。

実は、学生時代から活躍していた秋元康さんも早稲田の出身だと勘違いしていました。調べたら秋元康さんは中央大学(中退)なのですね。

大きな勘違いでしたが、大学に限らず環境の力を活用する能力はお二人に共通していると思います。

今は岩切一空監督の名前を知っている人は限られますが、将来は秋元康さんのような知名度を誇る人物になる可能性が高いと思っています。

岩切一空監督プロフィール

出演女優小池ありさとりりかの魅力

『花に嵐』の主演は、今は女優を引退しyoutuberになったりりかさんです。
この作品では、りりかさんの透明感に魅力を感じる人が多いです。

ですが私は、小悪魔だった小池ありささんにまず注目しました。

声が変わっちゃう小池ありさ

おはよ☀️
今日40度近いらしいけどどうしようか？ pic.twitter.com/iKoisqFZil

— 小池ありさ (@akr2361) August 15, 2020

男性の性欲を司る脳に直接響きそうな声と甘え上手な態度。
キャバクラで絶対人気が出るだろうな、と思わせるありさ先輩の態度。

そのあと背筋が凍る展開に。
ま、予想はしましたが。

この映画は出だしから観客の心つかむ要素が沢山あるのですが、このありさ先輩は大きな掴みだと思います。

透明感ありなのに執念でいっぱいな”花”役りりか

スイカのかき氷も‼︎ pic.twitter.com/LppvjlN7Wc

— 里々佳 (@riri___ka) September 6, 2019

醸し出す雰囲気に、少女の亡霊？と思わせる透明感があります。

ショートカットの丸顔で女おんなしていないのに、行動は裏腹で主人公を翻弄します。

りりかさんの個性が活きた役柄だと思います。

『花に嵐』そのほかの見所

見所が沢山あります。
ネタバレにならないよう気をつけながら、強く印象に残ったところを書いてみます。

オープニング

わぁ、この作品、アート的なのかな？観念的なのかな？と期待させる映像です。
字幕で出てくることと映像にマッチ感は感じなかったのですが、とにかくオープニングがいいです。

オープニングの次のシーン

えっ？と思いました。

これは現実には絶対起きない！

この男子だけにおいしい、ありえない展開。
よくそのまま取り入れたと思います。
普通なら「ま、そうは上手くいかないよね～」と却下しそうなんですけど。
「なんでその車種？」と思う車も出てきます。

ストーリー展開

コロコロ変わるシーンと話の展開は軽妙です。

俳優陣がいい

軸になる3人、岩切一空さん、りりかさん、小池ありささんがいいです！

ドキュメンタリータッチが良かったのかも

撮影の仕方について専門的なことはわかりまんが、視点がドキュメンタリーぽいのでリアリティが増したのかもしれません。
引き込まれました。

大学生のパワーを感じる

若者のパワーと言う言葉がありますが、私がこの映画に感じたのは「早大生のパワー」です。
前述しましたが、早稲田に受かった新入生の期待感、ワクワク感、緊張などが伝わってきました。
高校2年くらいの時に見ていれば、勉強して早稲田に入りたいと思ったかも。
遠いタラればのお話。

この映画はDOKUSO映画館で視聴しました。

『花に嵐』作品基本情報

『花に嵐』は、ぴあフィルムフェスティバル2016で多くの審査員に高く評価されました。

【受賞歴】

『花に嵐』レビューまとめ

フィルムマークスのレビュー欄で多い意見をまとめました。「生理的に好きでない」というものがいくつかありましたが、面白かったという声が圧倒的に多いです。

パワーのある作品です。
自主映画好きの方には特に、是非見て頂きたいです。